2012年12月5日水曜日

開催報告 滋賀医科大学 家庭医療レクチャー


プロジェクトスタッフの菅家です。
今日は滋賀医科大学からの報告を頂きました。

滋賀医科大学では、近隣の医師たちの協力で、定期的に家庭医療レクチャーが企画されてきました。今回は、11月29日に行われたそうで、京都家庭医療学センターの佐々木先生から報告を頂きましたので、紹介します!

==

11/29 滋賀医科大学 家庭医療レクチャー開催報告
京都家庭医療学センター 膳所診療所 佐々木隆史

 昨年からほぼ毎月やっている滋賀医科大学の学生主催の家庭医療レクチャーです。先月の弓削メディカルクリニックの森先生による「とことんロールプレイ~ワールドカフェで学ぶ行動変容」というWSに引き続き、「こんな時どうする?すぐに使えるBad Newsの伝え方!」というSHARE法をつかったBad News TellingのWSを行いました。参加者は医師併せて20名でした。

 医系学生さんはいずれ、相手の「病」という負の部分を対象に、治療・ケアしていかなくてはなりません。時には「不治の病」と向き合うことが必要となります。そのことをふまえて、悪い知らせをどう伝えるかを、シネメディケーションを使って、グループディスカッション形式で、みんなで考えていきました。


 シネマ①「明日への記憶(2006年、主演:渡辺謙)」
ミッチー扮する神経内科医が、若年性アルツハイマーの診断をうける渡辺謙に行う医療面接を通して「患者さん、家族に優しい医療面接とは?」を考えてもらいました。「感情無く淡々とやりすぎ」「突然、認知力の検査を始められたら馬鹿にされている感じがする」といったことから、「机が患者と医者の境界線になっている」「夫と医師の板挟みの奥さんが可哀想」など、患者さんをとりまく周囲の状況までしっかり認識できていて、驚かされました。

 シネマ②「SHAREをつかった癌告知」
進行癌であるとは思っていない患者に、進行癌であると伝える。SHARE Approach 「Supportive environment(サポーティブな環境設定),How to deliver the bad news(悪い知らせの伝え方), Additional information(付加的情報), Reassurance and Emotional support( 安心感と情緒的サポートの提供) の4 つの頭文字 を取った手法」をつかったVTRをみて、前回と比較してどうだったかについて同じグループで話し合ってもらいました。「相手の心をしっかりとらえていた」「家族も安心して聴いていた」「間の取り方がよい」などと、どこの班でも、私の解説抜きでも面談の本質をとらえている意見が出て、感受性が豊かだなあと思いました。一方で「こんなゆったりとした面談、本当に出来るの?」という質問もありましたが、参加者の先生から「運転免許の教習みたいなもので、実際とは異なることもあるが、手本としている」とコメント頂き、私も納得でした。

 ロールプレイ(予定だった)「明日から使えるSHARE」
体育会クラブのキャプテンという設定で、同じ仲間に対して、どのようにレギュラー落ちを伝えるか?という面談を、SHARE法を用いてやってみました。残念ながら、時間が無くスライドのみでしたが、結構ウケてくれたので、これでみんなが明日から使えると確信しました。

 今回、はじめて講師として参加させてもらいましたが、平日の19:30から集まってくれる学生さんって、すばらしい宝物だと思いました。同時に各診療所からも家庭医が集まってくれて、もう「滋賀の家庭医はたのしが、うれしが」です。

0 件のコメント:

コメントを投稿