2013年2月16日土曜日

開催報告 福岡大学総合診療勉強会 with 飯塚病院・ピッツバーグ大学


行脚プロジェクトスタッフの菅家です。
今日は、2月2日に福岡大学で行われた勉強会の報告を紹介します。
福岡大学医学部学生の山下さんより頂きました。ありがとうございます!!

====

セミナー名:福岡大学総合診療勉強会with飯塚病院・ピッツバーグ大学
場所:福岡大学医学部臨床大講堂
日時:平成25年2月2日(土) 13時30分~17時30分
主催:福岡大学総合診療部
共催:飯塚病院、日本プライマリ・ケア連合学会ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト、ざっくばらん家庭医療勉強会
参加者:医学生27人、初期研修医3人、その他医師10人、医療系学生1人


13:40 講演「福岡大学でのプライマリ・ケア研修の取り組み」
      講師:福岡大学病院 総合診療部部長
                   鍋島 茂樹先生
 現在の日本のプライマリ・ケアは誰が支えているのか。新たな専門医制度が将来的にどのような仕組みになると考えられるのか。
福岡大学病院総合診療部の教育方針について(記録、追跡、討論)。医学部4年生における症候病態学演習での取り組み。福岡大学病院総合診療部のこれまでとこれから。

14:25 講演「Family medicine
講師:ピッツバーグ大学家庭医療学講座 教授
                   サウスポール先生
 アメリカにおけるFamily medicineとはどのような医療か。Family medicineはアメリカにおいて、どのような時代背景の中生まれたのか。アメリカの現在の医療の状況と、Family medicineが支える役割。アメリカの医療の状況と、日本の医療の状況の比較(国民皆保険、フリーアクセスetc.)。Family medicineが行う具体的な医療業務。

14:40 講演「ホスピタリストとは?」
講師:UPMC イースト病院 ホスピタリストディレクター
                   ミュージック先生
 ホスピタリストは、総合内科における入院部門を受け持つ。1996年、入院治療のための新しいモデルとして生まれた概念である。増え続ける医療コストに対する抑止力として、また入院患者を診るマンパワーとして(研修医の業務時間制限が設けられたため)期待されている。ホスピタリストは現在アメリカで3万人、アメリカ全体の病院の29%に、200床以上の病院の55%にいる。アメリカの医学史上最も急激に成長している。
ホスピタリストの具体的な業務やライフスタイル。ホスピタリストになるための経緯。ホスピタリストが病院に与えるメリット・デメリット。医師にとってホスピタリストという選択肢のメリット・デメリット。

15:45 ケースディスカッション「認知症患者の診療」
講師:ピッツバーグ大学家庭医療学講座 教授
サウスポール先生
          飯塚病院 総合診療科
                   吉田 伸先生
 寝たきりの妻を介護していた89歳男性が認知症を発症し、周囲の助けを拒否するケースを扱った。老老介護よりも深刻である、認知症を伴ったケースを「老老認認」と定義。これからの医療が支えていかなければならない社会的な問題としてこの症例がテーマに選ばれた。
まず誰から情報を集めるか。社会的な繋がりが少なく、本人から情報を得ることが難しい今回のようなケースで、どのように情報を集めればよいのかをディスカッションした。
次にどのような検査をするのか。実際の医療現場のように、鑑別診断として何を考えながら、どんな検査を進めていくのかをディスカッションした。
サウスポール先生が特に強調されたのは、治療によって治せる可逆的な病気を、非可逆的な認知症と誤診してはならない、という注意だった。Pseudo Dementiaとしての鑑別疾患をしっかり学んだ。
そして、今回のケースでのゴールをディスカッションした。このまま入院させ続けることは不可能であり、家に帰すこともできない。実際には息子さんを東京から呼び、スタッフと話し合った。

(参加者からの声)
自由に発言できる雰囲気が良かった。また、色んな大学の人がいて刺激になった。改善点は進行のスムーズさと時間配分。
私は英語が苦手でついていくのに必死でしたが、通訳もしていただいて英語の勉強にもなり有意義な時間を過ごせました。英語の勉強をもっとしようというモチベーションにもつながりました!初めに総合診療やホスピタリスト、家庭医療などの大まかな概念を説明していただけたのも、詳しく知らなかった身としては、その後の講演を有意義に聞ける材料となりよかったです。
今回は時間や席の都合上難しかったかもしれませんが、学生を少人数のグループに分けてチュートリアルみたいに話し合う時間も作ってもおもしろいかなと思いました。
普段の学校生活では聞くことの出来ない貴重なお話を沢山聞くことが出来て有意義な時間を過ごせたので、とても良かったです。しかし、進行や休憩時間が予定通りとれなかった点は少し残念でした。全体としては非常に良いものでしたので、また機会があれば是非参加したいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿