12月2日、京都大学を会場に行われた 日本プライマリ・ケア連合学会 学生・研修医部会関西支部主催のワークショップ報告をお送りします!
学生・研修医部会のブログより転載させていただきました。
http://blog.livedoor.jp/primarycare_student/
記載いただいた大阪医科大学 高岡大介さん、ありがとうございました!
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日本プライマリ・ケア連合学会 学生・研修医部会 関西支部主催
第三回 家庭医療ワークショップ@京都大学
共催 日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会 80大学行脚プロジェクト本年も押し詰まって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?いつもお世話になっております。大阪医科大学 医学部 5年 髙岡 大介と申します。この度京都大学で開催されました、関西支部今年度第3回目のWSのご報告をさせていただきます。
今回も家庭医療のエッセンスについて学ぶ、「特集」の部と、家庭医の先生方にプログラムの魅力と先生ご自身が家庭医となられた理由についてお話しいただく「連載」の部の2本立てでプログラムを企画いたしました。それでは今回のWSを順に振り返っていきたいと思います。
日時:2012年12月2日
場所:京都大学 医学部人間健康科学科キャンパス 杉浦ホール
「特集」の部 13:00~16:00 (3時間)
テーマ:行動変容
わかっちゃいるけどやめられない ~明日から使える行動変容促し術~
担当 京都家庭医療学センター 宮川 卓也 先生
今回のテーマは行動変容ということで、まずは身近な題材としてたばこを例にとり、京都家庭医療学センターの宮川 卓也先生からたばこの及ぼす影響と行動変容、行動変容を説明する4つのキーワード(変容ステージ・自信度/重要度モデル・意志のバランス・傾聴/共感)についてのレクチャーをしていただきました。
レクチャー後3人ずつの小グループを構成し、ロールプレイを行いました。ロールプレイは、会社員(無関心期)・主婦(準備期)・会社社長(再発期)という年齢・家族構成・行動変容ステージが異なる3人の患者さんを例に行われ、医師役は、「患者はどの行動変容ステージか?」・「患者の重要度・自信度はどの程度か?」、「生活習慣やたばこに対して患者はどう考えているか?」を意識しながら進められました。各回のロールプレイ後は、医師役と患者さん役が「体験してどう思ったか」、「良くできたことは何か」、「どうしたらもっと良くなるか」などの感想を互いに発表し合いました。各班から出た意見は、「いきなり患者さんに飛びつくのではなく、まずは家族からゆっくり納得させていくのがいい」、「患者さんに切り出す話のハードルを少し下げるのがいいのではないか」などの意見が出ました!前半からロールプレイング時も発表時も中々熱い意見が飛び交い、宮川先生も「これは凄いね!」とビックリされるほどの熱気に包まれました!
後半は、ロールプレイに登場した3人の患者さんに、医師・看護師としてどのように行動変容を促していくかということをグループ全員でディスカッションし、模造紙に記入して各班で発表しました。無関心期の会社員では、「まずは自身の健康についてどのように考えているか」、「たばこの害について教えてみる」、「自分の子供の成長に悪影響を及ぼすことを説明する」、「たばこをやめることで得られるメリットを説明する」などの意見が、再発期の会社社長では「禁煙に失敗したことは悪いことではないと寛容する」、「一度は禁煙したという事実を思い出させ、次こそは上手くいくと言って褒めてみる」、「今度は成功時に報酬を与えてはどうか」などの意見が挙げられました。それをもとに種明かしとして患者さんの変容ステージと適切な介入法、自信度/重要度をあげるためのアプローチについての解説をお聞きし、「よし!次から僕/私でも完璧にできそうだ!!」となったところで終了!
今回の行動変容というテーマは医療者となるうえで大変有用だというご意見を、WS終了後に学科を問わず様々な方から頂きました。宮川先生のレクチャーも大変分かりやすく、「言葉一つで行動変容に結びつくフレーズってこんなに沢山あるんだ!」ということを知ることができました。
京都家庭医療学センター 宮川 卓也 先生 写真左
ロールプレイ中の会場の様子
「連載」の部 16:00~16:30 (30分)
テーマ:私と家庭医療
担当 大阪家庭医療センター 大島 民旗 先生
今回の連載の部は、大阪家庭医療センターの大島 民旗先生をお招きしました。実は大島先生は卒後20年以上の後にジェネラリストへ転身されたという経歴をお持ちでいらっしゃいます!そのきっかけは、先生が呼吸器内科医であった時に担当されていた患者さんが胆管癌を患われた際の苦い経験、パニック発作による呼吸苦で来られた患者さんの救急対応などから、診療科をまたいで対応ができ、患者さん自身の望む治療を提供できる医師になりたいという思いを持たれたことでした。大島先生は野球バッターを例に、専門医と家庭医の違いを「時速150km級の球を打ち返すバッター」を専門医、「様々な球を打ち返すバッター」を家庭医と大変分かりやすく説明してくださいました。
続いて、大島先生の所属であるファミリークリニックなごみのご紹介がありました。当施設は2006年4月に大阪府で初めての家庭医療後期研修プログラムの研修施設として設立され、一日外来数80人・在宅患者数70件と、大阪府の淀川区のほぼ全域と西淀川区の一部地域の医療をカバーしています。私も今度見学に行かせていただきたいと思っております!
最後に、患者中心の医療を軸に、家庭医の仕事に求められること・職業としての誇りと家庭医の社会貢献について教えていただきました。具体的には、家庭医の役目の一つとして、地域の健康増進(喫煙率の低下・予防接種の普及・がんの早期発見など)があること、家庭医の誇りは「〇〇さんのことなら何でも知っている!」ということを実感できることだとお聞きしました。また、在宅の往診の際に時期の節目の行事などを一緒に楽しんだり、誕生日を一緒にお祝いしたりするのも家庭医の醍醐味だと大島先生は仰っていました。
最後に、今回も学生26名、先生が総勢7名と計33名の大人数で開催することができました!!このように継続的にWSを開催できているのは、ご来場くださる学生の皆さんと、忙しい毎日を縫ってご登壇・ご来場くださる先生方のおかげです。関西支部は今後も継続的な学びの場を提供していけるよう精進してまいります。今後とも何卒よろしくお願い致します。
文責 大阪医科大学 医学部 医学科 5年 髙岡 大介
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