80大学行脚プロジェクトスタッフの菅家です。
今日は、滋賀医科大学で開催された、家庭医による創傷処置の勉強会の報告を紹介します!
滋賀医科大学での勉強会は、どんどん発展してきていますね!!
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京都家庭医療学センターの中村琢弥です。
この度、滋賀家庭医療学センター(SCFM)こと弓削メディカルクリニックの雨森正記先生、森洋平先生とともに2011年10月25日に滋賀医科大学医学生に対して「創傷処置」についての学習会を開きましたため、その報告を行います。
本学習会は母校である滋賀医科大学の家庭医療勉強サークルであるFPIG様(http://fpig.blog112.fc2.com/)や国際医療保健学習サークルであるTuktuk(http://sums-tuktuk.jimdo.com/)の方々と協力し、2011年4月、5月、6月、9月と実施されました毎月一回の家庭医療学習会の第5弾になります。
これまでは私中村がメインで学習会をデザインしておりましたが、前回から講師として加わって下さった弓削メディカルクリニックこと「滋賀家庭医療学センター(Shiga Center for Family Medicine)」の森先生がメインファシリテーターとして今回の第5弾の学習会をデザインされ、本格的に新しい視点が加わることとなりました。
さて、家庭医が診る健康トラブルには、内科的な問題だけはなく、外科的な問題も多いです。特に、擦過傷や熱傷、動物咬傷など、家庭医の診療所では頻繁に遭遇します。しかし、医学生の段階において、これらの系統的で実践的な学びの機会は乏しいのが現状です。そこで今回、私たちは診療所でよく遭遇する「創傷治癒の基本」をテーマに、実技も交えて学習者である学生に提供することにしました。
[一般目標]
新しい創傷治癒を学ぶ
[個別目標]
知識:創傷治癒における2大原則(消毒しない、乾燥させない)を列挙できる。
:創傷を診た際に、どのような治療が適切かを述べる事が出来る。
技術:各種被覆材を適切に加工し、創部に貼付することが出来る。
[教育方略]
技術領域におけるスキルを育てる学習を促進するためには以下の条件が必要です。
1)教訓的プレゼンテーション
2)実演による導入
3)スキルの練習
4)自分自身のパフォーマンスについて省察する
5)自分自身のパフォーマンスについてフィードバックを受ける
6)熟達するまで討論、練習、省察、フィードバックのサイクルを繰り返す
今回、セッションは90分弱という短い時間であるため6)は短縮としました。また、体験学習では、学習者が自分自身と周囲に自らの長所・短所をさらけだす必要があり、人間関係についてのスキル、感性、偏見、心理的防御、以前の経験はパフォーマンスに影響することがあります。そのため安全で支持的な学習環境を作るため、形式を“ディスカッション”としました。
・教育者-学習者間の共感関係を構築する。
・教員が教材とともに自分自身に関する経験や苦境を開示する。
・学習者の長所を明確に認識し、強化する。
・事実に基づき批判的にならず、援助的かつ積極的な形で不足している部分に関するフィードバックを提供することを含む。
・以前に経験した人にも配慮;学習者の経験を聞き、その話を組み、方向付ける。
以上を配慮し、教育セッションに臨むこととしました。
[評価方法]
実地のパフォーマンスを評価するには評定尺度、自記式評価表、直接観察法があります。今回は研修医の手技技術評価のための簡単な評価表として、欧米の卒後医学教育で使用されているDOPS(Direct
Observation of Procedural Skills)を改変して、使用することとしました。評価者間のばらつきを減らすために、説明文をつけ、さらに評価の内容は簡潔な内容として工夫しました。
さて、当日は19:30から開始、参加者である学生は合計14名となりました。まずは自己紹介+アイスブレーキングにて楽しく歓談し、創傷処置についての理論をレクチャー。特に「消毒」と「乾燥」についてはかなり強調してそれが推奨されなくなった流れを説明しました。その後、実際に森先生の手による実技指導が行われ、各班にて実技練習となりました。実技の後、簡単な実技テストが行われ、DOPSを用いて採点していきました。皆さん楽しそうに被覆材を扱っている様子がとても印象的でした。
結果としては、質疑応答も盛り上がる素晴らしい時間となりました。森先生が展開される実技指導もとても学ぶべき点が多く楽しい雰囲気のまま時間が過ぎていきました。参加者の感触も良好で、創傷治癒についての基本的な手技についてはほぼ身につけて頂いていたようでした。また実際の被覆材を提供して下さった弓削メディカルクリニックの雨森医師には本当に感謝です!
報告は以上です。今後もこの会は滋賀医科大学にて月一回で開催予定です。
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