プロジェクトスタッフの中山です。
開催報告が“大変”遅れましたが、2013/11/30-12/1に行われました勉強会についてご報告します。
勉強会運営リーダーの熊本大学の香田将英君の報告です。
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【勉強会名】第5回 大学では教えてくれないウィメンズ・ヘルスWS
【日時】2013年11月30日(土)13:00~
12月01日(日)13:00
【場所】九州大学病院キャンパス
【講師】
本山 哲也、菅長 麗依
(亀田ファミリークリニック館山)
中山 明子(大阪家庭医療センター)
【チューター】
木村 武司(安房地域医療センター 総合診療科・小児科)
上野(吉田)晃子(沖縄県立中部病院 産婦人科 後期研修医 チーフレジデント)
朝重 裕華(介護老人保健施設 サンブライト愛宕Ⅱ)
一ノ瀬 英史(麻生飯塚病院総合診療科/頴田病院)
松島和樹(飯塚・頴田家庭医療プログラム)
胡暁華(飯塚・頴田家庭医療プログラム)
金弘子(飯塚病院 総合診療科 家庭医プログラム)
森島亮(安房地域医療センター地域ホスピタリストプログラム後期研修医)
【参加人数】51名
(医学生:36名,看護学生:6名,その他医療系学生:6名,医師3年目以降のオブザーバー:3名)
【共催】
80大学行脚プロジェクト
九州大学医学部熱帯医学研究会
【後援】
日本家族計画協会
【WS内容】
<11/30:1日目>
①思春期
1−1『月経』
最初のコマは「月経」について。正しい月経とは何か,どうすれば医療機関にかからなければいけないのか,わかりやすくレクチャーをしてくださいました。
実際にナプキンを使ってどれだけ吸えるのかの実験では,ナプキン交換のタイミングはだいたい何mlくらいなのか,みんな興味津津に実験を見ながら,(男性はもちろん)普段あまり意識することのない月経量の目安について認識することができ,理解が深まりました。
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ナプキンの吸収力の実験 |
その後の,2人一組で月経歴を聞くというロールプレイでは,似たような言葉でも,ニュアンスの違いで患者さんに与える印象が異なることもあり,スムーズに月経歴をとる難しさを実感しました。
また「初経は,本人よりも,お母さんが洗濯物で気づくことも多いんだよ〜。」と,先生方の臨床の現場での気づきも,大変勉強になりました。
1−2『STD』
性感染症,主にクラミジアとHIV,PIDについて焦点を当ててレクチャーをしていただきました。
STD/STI 診療の原則は,「他のSTDを探す」「患者教育・予防」「パートナーの治療」…その前に何より「STDを疑える+適切に問診」できる事が大切ですが,ロールプレイでは,医師としてsexual historyを取る難しさと,患者として聞かれる恥ずかしさを体感し,デリカシーをもって対応する重要性について体感することができました。
また,「カンジダは誰にでも起こる!STDではない。言葉遣いや説明に気をつけて,治る病気で,原因をきちんと説明してあげましょう。」といった先生の言葉が印象的でした。
1−3「若年妊娠と避妊」
・若年妊娠と中絶の現状
・避妊法(コンドーム・ピル・IUD)
10代の性行動と若年妊娠の現状についてレクチャーがあり,グループでディスカッションを行いました。コンドームネゴシエーション(全員が女子の気持ちになって,彼から「コンドームを付けたくない」と言われた時の答え方を考える)では,どのような答え方がよいのか皆で悩み,交渉の難しさを感じました。
そのあと,様々な避妊法,緊急避妊法についてレクチャーがありました。最終ロールプレイでは,緊急避妊法を求めてきた患者への対応する練習をしました。レクチャーにあった「医療機関にきた時が性行動を考えさせるchance」を意識して,とても難しいシチュエーションでしたが,緊急避妊法についての話から,いかに普段の避妊法のアドバイスまで行うか,試行錯誤しました。
②更年期とヘルスメンテナンス
2−1 更年期・うつ病
更年期の定義と,更年期障害についてレクチャーをしていただきました。「更年期は生活の転換期としてとらえてもらう」という言葉が印象的で,女性は上手に更年期という変化と付き合っていくことが大事であり,また医療者側としては,原因不定愁訴=更年期症状と決めつけず,基本的な病歴,身体所見から鑑別を進める態度も必要であると感じました。
2−2「予防を知る」
女性の癌(子宮頸がん,子宮体がん,乳がん)・スクリーニング・HPVワクチン
ヘルスメンテナンスの4原則(スクリーニング/予防接種/予防的薬剤治療/カウンセリング)を元に,スクリーニングや予防接種を中心にレクチャーしていただきました。また,参加者自身のパソコンやスマートフォンから,アプリ「ePSS」を使用し,米国で用いられる「USPSTF」で推奨される予防医療を,色々な対象年齢を考えながら検索して,検索ツールの有用性を実感しました。
③1日目のまとめ,各種勉強会宣伝
盛りだくさんの内容を簡単に復習し,頭の整理になりました。
<12/01:2日目>
・出産前のケア
・妊娠中のケア
・出産後のケア
出産に関わる3つの段階について,「今やるべきこと」「今後のために伝えるべきこと」「家族を含めて介入すべきこと」という3つの視点から,前日の基礎知識も使いながら,患者さんに行えることについてグループディスカッションを行った上で,レクチャーをしていただきました。産婦人科医でなくても,気を付けられることの多さに皆驚いていました。
特に「風疹接種歴の聴取・ワクチン接種のタイミング」,「(産後でなく)出産前の早い時期に母乳栄養にすると決めたほうが,母乳育児の成功率が高い。」,「DVは妊娠中に増える。(旦那の浮気に注意)」といったような内容は大きな発見でした。
⑦知識整理ゲーム Jeopardy(ジェパディ)!
2日間の知識の復習を,グループ対抗のクイズで行いました。選択する問題によって,ポイントと難易度は様々。皆の2日間の疲れはどこに行ったかというような勢いで,回答件を得るためのコーヒーの缶は,取り合いにより,早々に凹んでしまいます。難しい問題も,皆2日間の知識を総動員して次々と答え,しっかりと学んだことが身になっていてすごいと感じました。最後のチーム戦では,答えに皆,衝撃(習ったはずなのに…ネタバレ防止のためここでは割愛)。おかげで一番頭に残りました。
⑧2日間のまとめ
全てのレクチャーで「一目で分かる◯◯」というA4〜A3の見開きプリントがあり,WSが終わった後もウィメンズヘルスの流れがいつでも復習できる素晴らしい資料を用意していただきました。
学年や学部,将来の志望も様々な参加者でしたが,皆がウィメンズヘルスについて考え,今後に活かしていけるきっかけとなった素晴らしい勉強会でした。
第5回は,前回(第4回)に引き続き,申し込み開始2日間で定員に達してしまいました。第6回も盛会間違いなし!
惜しくも今回参加できなかった方は,ぜひ次回の機会にご参加ください!
多くの学生・研修医がウィメンズヘルスについて考える機会に恵まれることを,願っています。