プロジェクトスタッフの菅家です。
今回は、以前より継続して行われている、滋賀医科大学での家庭医療学習会の報告をいただきました!
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京都家庭医療学センターのシニアレジデントの中村琢弥です。
2012年2月28日に滋賀医科大学にて「ワクチンスケジューリング」についての定期学習会をおこないましたため、
その報告を行います。
本学習会は私の母校である滋賀医科大学の家庭医療勉強サークルであるFPIG関西や国際医療保険学習サークルであるTuktukの皆様と協力し、2011年4月より毎月一回連続開催している家庭医療学習会の第8弾になります。
今回はこれまで手をつけていなかった小児科領域!かつ、大学ではあまり学ぶことが少ない「ワクチンスケジューリング」をテーマとして取り扱うこととなりました。昨今、ワクチンは定期接種の種類も増え、ますます一般市民にとっては混乱の様相を呈している状態です。今こそ家庭医として将来医療者となられる学生の皆さんにワクチンを正しく取り扱えるように学習の場を持ちたいと思ったのでした。
実は今回の学習会の構想はかなり以前からありました。標準ワクチンスケジュールを組むセッションを軸にワクチンごとの特徴やそのスケジュールを組むことそのものの難しさ、そして現実にはその難しさに一般市民である両親がさらされていることを学生の皆さんに実感してもらうことが目的の一つとしました。そんな両親に対して、正しくワクチンスケジュールを指導できる医療者となろうとすることはおのずと生まれる感情だと思ったからです。
WS前の事前準備では、日本小児科学会が先日発表した推奨ワクチンスケジュールを軸に資料をラミネート化して作成し、またVPD(Vaccine Preventable Diseases)の詳細を家に帰ってからでも学ぶことができるように専用の資料を別途作成しました。また実際にスケジューリングに取り組んでもらうためのシートを用意し、本番に臨みました。
さて、当日は19:30から開始、参加者である学生は合計12名となりました。セッションではIce breakingと同時にFirst sessionとして「貴方の知っているワクチンは?」と題して、グループ毎にできるだけたくさんのワクチン名を挙げてもらいました。こうしたSGDを用いたグループワークは一種のゲーム感覚も作用して、非常に盛り上がるとともに、学生同士でも刺激し合うため、この程度の人数での学びの感覚を研ぎ澄ませるには向いていると考えています。
その後、ワクチンについてのおおよその説明をおこないました。
・対象となる小児は基本的に元気である(病気をしてワクチン接種不能とはならない)。
・この地域ではポリオは生ワクチンであり、不活化の希望は今のところない(ここは悩みましたが今回は本設定)。
・生ポリオワクチンのみ集団接種。この日は他の同時接種は基本的に不可能とする。
・本家族は経済的には大きな問題なく、意向として「打つべきワクチンは全て打ちたい」と考えている。
・両親は同時接種に抵抗がない。
・日本小児科学会が推奨するスケジュールを参照とする。
全体として学生達皆が顔をつきあわせて、ワクチンスケジュールに一生懸命取り組んでいただけました。その議論の中で様々な壁にぶち当たり、悩み、ワクチンごとの性質をファシリテーターとなっていただいた医師を交えて議論してもらえたのではないかと思います。最終的には各グループからそれぞれ工夫されたスケジュールが発表され、盛況のうちに本会は終了となりました。
Next stepとしてはワクチンスケジュール毎の評価を行う時間をとることができなかったことです。その代わり今回は全体のタイムマネージメントを厳密に行い無理のないスケジュールを組むことができたと自負しております。WSの構成もこの一年で洗練されたものです。
報告は以上です。今後もこの会は月一回で継続予定(次回は2012 年4月or5月開催予定)です。
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